物語『チムちゃんのあさつゆ』第36話

ささみつあみあみ

2024年03月01日 15:04

 こんにちは

 私の作った物語『チムちゃんのあさつゆ』
久しぶりの第36話目です。

では、本文どす。


ささみつあみあみメルヘンシリーズ          ※このお話はフィクションです

             チムちゃんのあさつゆ

              第36話「水玉な積雪」

 2024年3月1日金曜日。夜中(よるぢゅう)降り続いていた雪は朝には止みました。
「良かった。そんなに雪が積もらなくて。」朝、チムちゃんのお父さんは外を見てそう言いました。
「温度が高くて溶けちゃったんね。」チムちゃんのお母さんも言いました。チムちゃんは、
「いっぱい積もるかと期待してたんにぃ。残念。」と言いました。チムちゃん、いっぱい積もった雪でかまくらを作るつもりでいたのです。ですが、いっぱい降った雪は地面の地熱で多くは溶けてしまったのです。
 「行ってきまーす。」チムちゃんは今日も元気に多田梨中学校に登校します。
「おはよ。」
「おはよう如月ちゃん。」チムちゃんは仲良しの友人、如月(きさらぎ)ちゃんに会いました。そして、魔法使いのメイちゃんにも会いました。

「なんじゃこりゃ。あそこの駐車場。」メイちゃんが言いました。
「地面に妙なもようが。」如月ちゃんが言いました。アスファルト舗装された駐車場に積もった雪が変なのです。

「雪が水玉模様になっとる。」と、メイちゃん。チムちゃんは、
「不思議なもようね。地面が雪で水玉。」と言ってしゃがみました。そして、地面の雪の白い部分に指を突っ込みました。
「この白いの、空気よ。白いもようが動いたもの。」チムちゃんは言いました。水分の多い雪が積もり、その水びたしの雪の中に空気が閉じ込められて不思議なもようができていたのです。
 「デッポーポ、ポウポ。デッポーポ、ポウポ。」きじばとさんが鳴きました。
「きじばとさんが鳴いてる。今日、雪が降った割には温かいもんね。」と、如月ちゃん。きじばとさんは暖かい日の朝に鳴くのです。
「春が近い。」メイちゃんが言いました。チムちゃんは、
「今日から3月だもんね。春、楽しみ。」と言いました。
 「おはよー。」教室に入ります。
「ハートリーさんおはよう。」
「…………。」相変わらずハートリーさんはしゃべることもできません。どこを見ているか分からない目をして座っているだけです。チムちゃんは、
「ハートリーさん、今日ね、地面の雪が水玉模様になってたんよ。」そんなハートリーさんに一方的にたわいのないことを話しかけます。聞いているのか聞いてないのかも分かりませんが。
 チムちゃん達は副担任の理科教師ロージィ先生(23歳独身女性妖精)に聞いてみました。
「ロージィ先生、雪がこんな水玉もようになってたんだけど、なんですか?これ。」バラの妖精であるロージィ先生が言うには、
「水分の多い雪が積もって、中にまあるい空気が入ってこんなもようができたんだけど、これは、霙(みぞれ)の妖精のいたずらね。」ということです。さらにロージィ先生が言うには、
「草間彌生(くさまやよい)さんって芸術家の方がいるんだけど(作品は検索でもして見てくださいね)その草間彌生さんは水玉模様が大好きなんよ。霙の妖精はその作品をお手本にしてこんないたずらてゆーか、遊んでみたんだろうね。」とのことでした。
 「そっかあ。みぞれの妖精さんのいたずらで雪の中に空気を入れてあんなもようができたんか。みぞれの妖精さん、可愛いいたずらをするもんだねえ。おしゃれ。」と、メイちゃんは言いました。すると、何でもかんでも歌にしてしまう如月ちゃんが、
「歌作った。聞いてみて。」と、歌い出しました。
「みぞれの妖精さんは~雪あたためてちょうど良い具合に溶かし~中に中に空気を入れてまあるいもようをつくるー。コンセプトテーマは草間彌生さん~」如月ちゃんは、
「うーん、この歌、もうちょっと推敲した方がいいね。」と自分で言いました。
 ロージィ先生は、
「今日は3月1日。こよみの上ではもう春。みぞれの妖精がああいういたずらをするときは春が近い証拠ね。」と、窓の外を見ながら言いました。

 「ポンポンポンポーン。校長先生からみなさんにお知らせがあります。みなさん聞いてください。」突然校舎内に放送が。
「はーい。校長先生です。みなさんにお知らせがあります。みなさん、3月31日になってもみなさんは進級しません。今と同じ学年のままです。サザエさんが歳を取らないのと同じです。これをサザエさん時空と言います。この物語の世界もみんな歳を取らないので、今の学年のまま令和6年度に突入しますのでよろしく。」と言う放送がかかりました。来年度、2024年(令和6年)度も中学2年のチムちゃん達です。この小説の更新頻度がかなり落ちていますけれど来年度もよろしくね。

 「ふーん。来年度も同じ学年かあ。毎度のことね。」チムちゃんが言いました。
「サザエさんも、ドラえもんも、クレヨンしんちゃんも、ちびまる子ちゃんも、私たちも歳は取りません。これがサザエさん時空。」如月ちゃんが言いました。ロージィ先生は、
「でも不思議なものね。私たちはサザエさんの世界みたいに歳を取らないのに、季節は移り変わって、冬から春になって、正月もまたあって、季節は巡ってゆく。不思議ねー。」と言いました。
「デッポーポ、ポウポ。デッポーポ、ポウポ。」きじばとさんが鳴き、
「ホーホケキョケキョケキョ。」と、ウグイスさんも鳴きました。
 さあ、春はもうすぐです。

第36話終わり        37話に続きます


久しぶりの『チムちゃんのあさつゆ』久しぶりすぎて失礼しました。
次回は未定です。

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