こんにちは
私の作った物語『チムちゃんのあさつゆ』
久しぶりの第35話目です。
では、本文どす。
ささみつあみあみメルヘンシリーズ ※このお話はフィクションです
チムちゃんのあさつゆ
第35話「おしのさん再訪」
2023年5月13日土曜日、チムちゃんは多田梨村図書館に行きました。
「図書館に来るの、久しぶりやわあ。」チムちゃんは料理の本が有るコーナーに行きました。
『あま~いハチミツスイーツ』チムちゃんはそんな本を手に取りました。チムちゃんの好物はあさつゆとハチミツです。
「ハートリーさんにハチミツのスイーツを食べてもらえば、ハートリーさんの調子、良くなるかしら?」そう思いながらチムちゃんは本を見ています。すると、多田梨図書館に物語作家のおしのさんがやってきました。すてきなブラウスとジャンスカ姿です。
「おしのさん!」チムちゃんはおしのさんに声をかけました。おしのさんも、
「やあチムちゃん。」と言いました。そしてチムちゃんはおしのさんに、
「おしのさん、今日はどうしたんですか?」と尋ねました。おしのさんの言うには、
「おもしろい本を図書館に寄贈に来た。」とのこと。その本とは……。
『年鑑バスラマ2023』
●国内バスハイライト・1年間の動向
●国内バスカタログ
●海外バスカタログ
●最新バス機器・用品ガイド
●歴史編1 信南交通の歴史アルバム
●歴史編2 国鉄バス '80年代の軌跡
というモノでした。チムちゃんは、
「マニアックな内容だなあ……しかし。」とつぶやき、
「『しんみなみ』交通ってどこにあるんよ?」とつぶやきました。するとおしのさんは、
「これね、『しんみなみこうつう』じゃなくて『しんなんこうつう』って読むんよ。長野県の南部、飯田市って所に有るバス会社じゃ。」と解説しました。チムちゃんは半分あきれそうになりながら、
「バスがやっぱり好きなんですね……。おしのさん。」と言いました。するとおしのさんは、
「だってオレ、バス会社の人やもん。」と言うのでした。
図書館の人は、
「あらあらおしのさん、いつもありがとう。早速おしのさんのコーナーに置いておきませうね。」と言って『年鑑バスラマ2023』という本を「桜塩しのコーナー」に置きました。また一冊、乗り物のバスの書籍が多田梨図書館に増えました。
「今日は、この図書館に、これから書く本のネタを仕入れに来たんじゃ。」おしのさんは言いました。チムちゃんは、
「どのようなネタを仕入れに?」と、おしのさんに聞きました。おしのさんは、
「今度書く本のね『感動』についてのネタ収集に来た。」と言いました。チムちゃんは、
「おしのさん、感動する本を書くんですか?」と聞きました。するとおしのさんは、
「その逆。『感動できない』っていう本を書くんじゃ。オレは感動のアンチテーゼ。オレは感動できないんじゃ。この話書いているささみつあみあみも感動しない人じゃけどね。」と言うのでした。チムちゃんは、
「おしのさん、感動できないって、24時間テレビとか見ても感動しないんですか?」と聞きました。するとおしのさんは、
「24時間テレビ?全然感動しない。あの24時間はね、日本テレビの制作者が『さあ感動しろ』って、視聴者に感動を求めている番組なんだろうけど、オレは感動しない。」と言いました。
「ん?」おしのさんは、一冊の本を見つけました。
『感動のドラマ』という題名のその本、本のオビには、
「絶対感動するこの本。この本を読んで感動しない人は人間性が疑われこの本を読む資格がないと思います。」と書いてありました。おしのさんは笑いながら、
「オレ絶対感動しないじゃろうな。オレこの本読む資格無いわ!」と言いました。なんかおしのさん、すごくうれしそうな顔をしています。
チムちゃんはその『感動のドラマ』という本を読んでみました。
「ジ~ン」チムちゃんは一発で感動!涙をポロポロこぼしながらその本を読んで感動していました。それをおしのさんが読むと、
「全然感動しないよ。制作側の『さあ感動しろ!』ってねらいが目に付いちゃう。オレって、なんか知らないけど感動できないんじゃよねえ。」という状態でした。
おしのさんは今までで一度も「感動」したことが無いのでしょうか?チムちゃんはそんな疑問を抱(いだ)き、おしのさんに、
「おしのさんは感動したこと無いんですか?」と聞きました。するとおしのさんは、
「一回だけ有る。」と言いました。そんなおしのさんの感動内容とは、
「いすゞBU10ってバスが有るんじゃよ。そのバスのDH100Hってエンジンが良い音でねえ、坂道を上り続けるときなんかに、『ギャー』ってかん高い音。良い音じゃったよ!あのエンジンの音には感動した。」と言いました。チムちゃんは、
「ポカーン」と、開いた口がふさがらなくなっていました。
チムちゃんはその感動の『感動のドラマ』という本を図書館から借りてきました。
「この感動の本、ハートリーさんに読んであげよう。そうしたらハートリーさん感動して、調子が良くなって、しゃべることも出来るようになるかもしれない。」と、チムちゃんは思ったのです。
次の学校の日、チムちゃんは『感動のドラマ』の本を多田梨中学校に持って行きました。そして感動の涙を流しながらハートリーさんに読んであげました。いつもハートリーさんに付き添っている、ハートリーさんのお母さんは
「ジーン!かんど~」と、感動して大粒の涙をボロボロ流していました。ハートリーさん本人は、
「…………。」感動どころかなんの反応もしません。と、思ったら、体が小刻みに震えているのです。
「ハートリーさん、感動してるの?」と、チムちゃん。
「ハイクション!」ハートリーさんはかわいいくしゃみをひとつしました。ハートリーさんのお母さんは、
「ハートリー!くしゃみを!」と言いました。チムちゃんは、
「くしゃみするとなんかマズいんですか?」と聞きました。ハートリーさんのお母さんは、
「その逆よ!この子がこうなってからくしゃみをすることは無かった!この子が良くなってきている証(あかし)だわ!」そう言って、
「じ~ん!かんどう!」と感動していました。そして、
「今すぐハートリーをお医者様に見せる!」と言って街の総合病院に行ったのです。
総合病院でハートリーさんは、お医者様に鼻とまゆ毛を診察され、
「確かにこの子の状態は良くなってきています。くしゃみはその証拠です。多田梨村に住まわれているそうですが、きっとそこの環境が良いのでしょう。」と言われました。
さあハートリーさん、これからどうなる?!
第35話終わり 36話に続きます
8月になって5月のおはなし。
遅くなりまして失礼しました。