おはようございます
私の作った物語『チムちゃんのあさつゆ』
第３４話目です。
では、前回から続き。
本文どす。
ささみつあみあみメルヘンシリーズ ※このお話はフィクションです
チムちゃんのあさつゆ
第３４話「ハートリーさんママとねりくん」
２０２３年４月２日日曜日。今年は桜の開花が非常に早く、平年よりも２週間ほども早いくらいです。今日、４月２日には多田梨村の桜は満開になっています。チムちゃんはハートリーさんやねりくん達をさそってお花見会を開催しました。コロナ禍ですが、今回はコロナウイルスのことは考えないこととします。
チムちゃんはハートリーさんのお母さんにも、
「４月２日にお花見するんですけど来ませんか？」と声をかけました。ハートリーさんのお母さんは、
「私たちも誘っていただけるんね。」と、うれしくて泣きました。今もハートリーさんは何も考えることも出来ず、しゃべることも出来ない状態です。
さて、お花見会参加者は、
チムちゃん
如月ちゃん
カムソング エモータル君
まめちゃん
ミソング ノモーレさん
担任の立石先生
保健のはんなり先生
校長先生
ハートリーさん
ハートリーさんママ
ハートリーさんパパ
ねりくん
ねりくんの彼女のひなちゃん
総勢１３名でした。
「そろそろねりくんとひなちゃんが乗ったバスが着く時刻よ。お迎えに行きませう。」チムちゃんは言いました。
「ウイーン。」と、甲高い音を上げて田上バス（日産ディーゼル４Ｒ１０４というバス）がやってきました。
「バシャーン」とバスのドアが開いてねりくんとひなちゃんが降りてきました。
「今日はお招きありがとふ。」ねりくんとひなちゃんは言いました。ハートリーさんのお母さんは二人を見て、
「まあ。二人ともなんてかわいい。」と微笑みました。チムちゃんが初めて見るハートリーさんママの微笑みでした。
多田梨中学校の校舎の前には桜の木の森があります。そこでお花見です。ひなちゃんは、
「この多田梨中学校いいよねえ。こんなにきれいな桜がいっぱい有る。」と感激しました。ねりくんはハートリーさんに、
「はじめまして。俺がねりと言います。」とごあいさつしました。今回がねりくんとハートリーさんの初対面です。ハートリーさんは、
「…………。」何も言いません。
「？？？」ねりくんは、
「どうしたん？頭でも痛いの？」と優しく言いました。それを見たハートリーさんのお母さんの目から涙がこぼれました。
「この子は私の娘のハートリー。しゃべることも考えることも出来なくなってしまったのです。」ハートリーさんのお母さんがそう言うとねりくんは、
「ええっ！大丈夫ですか？」と言いました。ハートリーさんのお母さんは、
「大丈夫じゃないの！」と泣きました。
「おいおいおいっ」と号泣するハートリーさんのお母さん。ねりくんはこういうときのためにいつも持っているきれいなハンカチを差し出しました。ハートリーさんのお母さんは、
「ねりくんって言うんね。なんてかわいくて優しい子。」と言って、ねりくんを抱きしめました。
「？！ど、どうしたんです？」驚くねりくんは、ハートリーさんのお母さんに驚きながらも涙を拭いてあげました。ハートリーさんのお母さんは、
「なんてかわいい！ねりくんの彼女さんは幸せ者ね。こんなにかわいくて優しい男の子の彼女なんて……。」と言うのでした。
「そこそこ。じめっとしないで！今日は私のお誕生日！」そこへいきなり口をはさんだのはクラスメイトのノモーレさん（スミレの精）です。ノモーレさん、今日４月２日がお誕生日なのです。ノモーレさんは
「せっかく桜も満開だし、明るく行きませうよ。」と言いましたがねりくんは、
「泣かせてあげて。」と言いました。ノモーレさんは、
「えっ。」と言いました。ねりくんの言うには、
「泣きたいとき、つらい気持ちがいっぱいだから、涙でつらい心が出てくるの。つらい心の排出。」とのことでした。ハートリーさんのお母さんは、
「本当にかわいい子！」と、再びねりくんを抱きしめました。
その時です。ねりくんの後ろから、さあーっっっと春の風が吹きました。春風のにおいがねりくんから、そして春風からハートリーさんのお母さんを包み込みました。ハートリーさんのお母さんからもっと涙が出ました。
「なんてすてきな子！」ハートリーさんのお母さんは、ねりくんの存在に心が癒やされ、ねりくんに救われたような感じになったのでした。つらい気持ちがねりくんのおかげで楽になったのです。ハートリーさんのお母さんはこの日からあまり泣かなくなりまして、具合の悪かったハートリーさんママのおなかも楽になりました。
保健室のはんなり先生は、
「ねりくんのおかげでハートリーさんのお母さんの心が癒やされて、お母さん、楽になったと。よかったと。」と言いました。
ハートリーさんの状態はそのまま変わりませんでしたが……。
第３４話終わり ３５話に続きます